食品ロスとは、本来食べられるが捨てられてしまう食品のことです。
食品を捨てることがもったいないのはもちろん、食品を捨てるにもゴミ回収や処分にエネルギー・手間や費用がかかり環境によくありません。
お店で捨てられてしまう食品をどうにかレスキューしたいな…
お店と購買者をつなぐプラットフォームを作ればいいんじゃないかな?
そんなふうに考えた人たちによりデンマークで創られたアプリが、『too good to go』です!
一体どんなサービスのアプリなのか?何をどう改善したのか?今後はどういうふうに広まっていくのか?をご紹介していきます。
合わせてデンマークで行っている食品ロスに対する他の取り組みもお伝えしていきますね。
デンマーク発の食品ロスを減らしたアプリ!ロスを減らすだけでなく社会に循環!
『too good to go』は、「捨てるには良すぎる」⇒「捨てるのがもったいない」という意味の言葉です。
『too good to go』は2016年にデンマークのコペンハーゲンで、食品ロスを減らすために生まれたレストランやベーカリー、スーパーなどと消費者をつなぐアプリです。
5人の青年がレストランで食事をしているとき、閉店後にまだ食べられる食品が捨てられていく様子を見て「もったいない!」と会社を立ち上げました。
そこからサービスを拡大していき、2022年現在はなんと17か国でアプリが使われているんですよ!
17か国はヨーロッパと北米中心となっています。
残念ながら日本でのサービスはまだで、予定も未定のようですね。
too good to goを使うメリットは環境にいいことをしている実感とお得感
too good to goを使うメリットを、消費者側とお店側でまとめてみました。
- 廃棄される商品をレスキューできて、環境にいいことをしている!
- さらに通常よりお買い得価格で手に入れることができる!
- 廃棄予定の食品の購入相手が見つかる!捨てずに済む!
- 利用してくれた人が今後のお客様になってくれる可能性がある!
基本的に閉店間際に廃棄されそうになった食品を、お店によってはかなりお得な価格で提供してくれます。
そのオファーで気に入ったものを消費者がアプリで購入手続きをし、指定された時間に受け取りに店舗へ向かいます。
受け取るときは購入したアプリの画面を見せるだけ!
お店によっては半額以下で手に入るということもあり、前日から予約をしていないと買えないくらい人気だそうです。
特に人気なのは「サプライズバッグ」と呼ばれる、食品が詰め合わさった福袋みたいなもの。
お店側が中身を選ぶので開けてみるまで何が入っているかわからないのがどきどきですが、開けて嬉しいくらいの品質と量が詰まっているようですよ。
本来であれば捨てられるはずだったものを、too good to goは最後の架け橋となって消費者のもとへ届けているんですね。
またいつもは使わないお店だけどせっかくお得になっているから買ってみようか、という消費者側のきっかけにもなります。
too good to goがきっかけで、リピーターになり通常時に来店するようになり、お店側の売上にも貢献しているようですよ。
too good to goのネガティブな見方はこちら!目的を正しく理解しよう!
一方で少数ではありますが、ネガティブな意見も紹介します。
- トマトにカビが生えていたり、全体的に腐りかけの食材が届いたり…。
- 安いからしょうがないけど、ピザが冷たく硬かった。
- 受け取りの時間が決まっているから好きな時間に受け取れない。
消費者側のネガティブな意見としては、品質の悪さと不便性に関するものが多かったです。
もともとの取り組みの目的が「食品ロスをなくす」なので、廃棄前のギリギリの食品を受け取るわけです。(程度にもよりますが…)
都合のいい時間においしい状態のものを食べたいなら、正規で普通に買い物に行くべきでしょう。
またお店側のネガティブな意見は、私が調べた限りでは見当たりませんでした。
そもそも食品ロスをなくすという目的に賛同したお店が集まっているので、ミスマッチは起こりづらいのでしょうか。
日本の食品ロス対策アプリ”tabete”
日本でも、too good to goに似たアプリとして、tabeteというものがあります。
仕組みは同じようなもので、売り切れない廃棄予定の食材を売るお店と消費者をつなげるものです。
私も使ってみましたが、参加店舗が少なく利用には至っていません(都内には結構ありそうですが)。
またAppleストアのコメントを見てみると、価格を安くしてくれない!などネガティブな意見が多い印象ですね。
これから規模も目的も広がっていってほしいですね!
デンマークの食品ロスの現状と削減!
そもそもデンマークの食品ロスは現状としてどういう状況なのでしょうか?
私たちの身近な日本の数値と比べてみましょう!
デンマークの食品ロスの量は国民一人あたりおにぎり一つ分!日本も同等!
デンマークでは、まだ食べられる食材が年間70万トンもの量が捨てられています。(引用:STOP SPILD AF MAD)
これはデンマーク人1人あたり年間47キロに相当します。
1日当たり100グラム強なので、毎日おにぎり1つ捨てているのと同等です。
ただし私が調べた中できちんとした数値を得られたのが2012年と2013年だったので、数値は古いです。
今はそこから25%の国内食品ロスを削減したという記事があったので、おにぎり4分の3を捨てている状況に変わってきています。(参考:デンマーク首相もサポート。たった5年間で、国内の食料廃棄を25%も減少させた“怒れる一般人女性”)
セリーナ・ユールさんという女性の発信から、政府を巻き込み食品ロスの改善という結果につながっているのはすごいですね。
次に私たちの国日本の状況から知りましょう。
日本では年間522万トンの食品ロスが発生しています。(令和2年の推定値:農林水産省ホームページより)
これはあなたひとりで毎日ごはん1杯分を捨てているのと近い量になります。
世界で飢餓に苦しむ人々に支援している食料量は2020年で年間約420万トンですが、その1.2倍に相当するんです。
日本だけで支援量以上の食品を捨てているなんて、考えさせられる数値ですね。
デンマークと比べると、日本の食品ロスの量は多いですね。
知ってた?もったいない食品の捨てられ方!
食品ロスと聞くと、あなたはどんな光景を思い浮かべますか?
- レストラン・ホテル・家庭での食べ残し(ブッフェやバイキングの残りも含む)
- スーパーからの消費期限切れの食材
- カフェやパン屋の賞味期限切れの食材
- コンビニなどの賞味期限切れのお弁当
- 形が悪くなったもの
- パッケージを新しくしたことで売れなくなった古いパッケージのもの
- 前の工場責任者の名前が記載されていることで売れなくなったパッケージのもの
最初の5つはすぐ思い浮かんだ人が多いでしょう。
最後の2つに気づいたあなたは、食品ロスに対する感度が高いですね!素晴らしい!!
実は食べ残しや賞味期限切れの食材だけではなく、パッケージが売るにはふさわしくないという理由で大量に廃棄されるものもあるんです。
パッケージだけで、中身の食材自体に問題はないにも関わらずです。
too good to goはこういった捨てられるはずの食材に再び売られるチャンスを作った仕組みなのです。
デンマークの食品ロスへの他の取り組み2選
デンマークではtoo good to go以外にも食品ロスの取り組みが活性化しています。
先ほども少し触れましたが、セリーナ・ユールさんを中心に「Stop spild af mad(食品ロスを止めよう)」という活動で発信しているのです。
この啓蒙活動のおかげで、デンマークでは5年間で25%の食品ロスを削減できたのです。
実際どんなことをしているのでしょうか?デンマークで取り組んでる具体的な動きを2つ紹介します。
賞味期限が多少切れていても食べられるよ♪
あなたは賞味期限と聞くとどんな印象を持つでしょうか?
その日付が切れたら品質が悪くなる期限のこと!そのまま捨ててしまうかなぁ。
こう思っている人は多いのではないでしょうか。賞味期限と消費期限の定義を確認してみましょう。
- 消費期限は安全に食べられる期限で、賞味期限はおいしさなどの品質が保たれる期限です。 消費期限を超えると安全ではなくなる可能性がありますので、食べることはおすすめできません。
- 未開封かつ包装等に書かれている保存方法を守っている場合、賞味期限を越えたからといって、すぐに安全性に問題があるとは限りません。
(引用:東京都福祉保健局)
定義としてはこのようになっていますが、実際は賞味期限と消費期限を勘違いしている人は多く、賞味期限が切れたら食べられないと捨てられる食品が多いです。
そんな賞味期限のイメージに一石を投じたのがデンマーク。too good to goの会社やセリーナ・ユールさんが中心となり取り組んでいます。
「賞味期限と消費期限の書き方キャンペーン」と銘打って、賞味期限の横にひとこと付け加えられることになったのです。
「賞味期限過ぎても美味しく食べられますよ」ということを、まずは牛乳のパッケージの一面に書いてもらうよう働きかけました。
内容は「目で見て、においを鼻で嗅いで、少し下で味見をしよう」と書いてあります。
賞味期限の日付を見るのではなく、食品自体の状態を自分で確認しましょうということですね。
賞味期限間近の食品を売るスーパー”We food”
We foodというスーパーでは、賞味期限の近いような通常のスーパーでは廃棄予定になる食品を引き取り、定価の3-5割引で売っています。
売っている食材は、先ほど「食品ロスとは」で紹介した7つの中でも、以下の5つがメインです。
- スーパーからの消費期限切れの食材
- カフェやパン屋の賞味期限切れの食材
- 形が悪くなったもの
- パッケージを新しくしたことで売れなくなった古いパッケージのもの
- 前の工場責任者の名前が記載されていることで売れなくなったパッケージのもの
こういった食材を、We foodは通常のスーパーと契約して寄付もしくは低価格で受け入れています。
too good to goの取り組みと同じように、お店側も食品を無駄にせずに済むこと、消費者側も安く食材を手に入れられることでwin-winの関係になっているのが素晴らしいですね。
まとめ
大切なのは、too good to goやWe food、賞味期限切れでもまだ食べられるよ♪の取り組みが、第一に「食品ロスをなくす」であることを理解することです。
デンマークのこれら3つの取り組みがすごいのは、その主張を継続して発信し続けていること、政府や教育機関も巻き込んでいることにあります。
同時に売上にもつなげるように仕組みを整えているところも、経営者視点があり素晴らしいですね。
消費者側からしたら、安く買えることが先行して目的があいまいになってしまいがちです。
そんな中デンマークでは、環境にいいことをすることがいいことであると、国民一人一人が考え理解しているのでしょう。
日本でもこれから食品ロスの考えがより広がって、国民それぞれが目的を理解しながら環境によいことをできるようになるといいですね!
まずは日本のtabeteのアプリをダウンロードしてみたり、賞味期限の切れた食品も状態を確かめてから処分を決めたりすることから始めてみましょう♪
≪参考サイト≫https://toogoodtogo.com/en-us/press/downloads/lifestyle
デンマーク語やデンマーク文化が好き!
デンマークに約1年間留学し、フォルケホイスコーレでどっぷりデンマークを楽しみました。
その中で自分自身の人生を試行錯誤しながら決めているデンマーク人を見て驚いた私。
そんなデンマーク人を形作る文化を、このサイトを通じて時事問題からひもといていきます。
ヒュッゲで一方でダークな面ももつデンマーク。
いいところは取り入れ、失敗から学べるようなサイトにしていきます♪
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